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干渉SARの基礎に関する質問
1-1 「SAR」ってどう読む? 1-4 「合成開口」ってなに?
1-2 「SAR」って何の略? 1-5 干渉SARは何に役立つ?
1-3 「干渉」ってなに? 1-6 他の測量方法との違いは?
SAR干渉画像に関する質問
2-1 SAR干渉画像はどう見る? 2-9 北行軌道と南行軌道の見え方は違う?
2-2 SAR干渉画像はなぜ虹色? 2-10 地表変位計測の精度は?
2-3 ざらざら模様の正体は? 2-11 誤差で一番大きいものは?
2-4 SAR干渉画像の背景は? 2-12 大気中の水蒸気による誤差?
2-5 SAR干渉画像の空間分解能は? 2-13 水蒸気による誤差は予測できる?
2-6 間延びしたピクセルの正体は? 2-14 植生による影響は?
2-7 SAR干渉画像の投影法は? 2-15 SAR干渉解析には何が必要?
2-8 地表の変位方向は?
公開している干渉SAR成果に関する質問
3-1 使用したデータは? 3-6 「DEMによる誤差」って?
3-2 使用した解析ソフトウェアは? 3-7 「使用軌道精度」って?
3-3 解析頻度は? 3-8 GPS観測結果と比較するには?
3-4 SAR干渉画像を引用するには? 3-9 水準測量成果と比較するには?
3-5 基線長ってなに? 3-10 地理情報と重ねるには?

干渉SARの基礎に関する質問

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Q1-1.「SAR」は、どう読むのですか?

「サー」と発音します。

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Q1-2.「SAR」は、何の略ですか?

英語の Synthetic Aperture Radar の頭文字をとっています。
 
直訳すると、「合成」「開口」「レーダー」です。 ちなみに、レーダー(Radar)は、 RAdio Detection And Rangingの頭文字です。

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Q1-3.「干渉」とは何ですか?

電波、光、音、さざ波などは「波」の性質をもっており、2つ以上の同じ種類の「波」が同じ場所で出会った場合に、波同士が相互作用をおこして、強めあったり弱めあったりします。この現象を広く「干渉」と呼んでいます。
 
電波を使って、対象物までの距離を測定する場合、対象物までの間に電波の波の「山」と「谷」が何個あるかを数えるのは至難の技です。しかし、2回の観測を干渉させて差をとることで、その差に含まれる波の「山」と「谷」の数を数えるだけで、どれだけ移動したかが分かります。

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Q1-4.「合成開口」とは何ですか?

レーダーで観測する場合、どの程度まで細かい対象物を判別できるかという分解能が問題となります。
 
分解能を向上させるためには、レーダーのアンテナの指向性を絞って細いビームを照射すればよいのですが、指向性を高めるにはアンテナを大きくする必要があります。 実際に人工衛星からレーダー電波を照射して、地表で10メートル、あるいはそれ以上の分解能を達成するのに必要なアンテナの指向性を得るためには、アンテナの大きさ「開口」が1キロメートルを越えてしまい、衛星に搭載する機器としては非現実的な大きさとなってしまいます。 そこで、飛翔体(人工衛星や飛行機など)が移動しながら電波を送受信して、大きな開口を持ったアンテナの場合と等価な画像が得られるように、人工的に「開口」を「合成」するのが「合成開口レーダー」と呼ばれる技術です。

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Q1-5.干渉SARは何の役にたちますか?

まず、地球表面の動きを測定できることで、大きく役に立ちます。
 
地震による地殻変動を測定すれば、地表の変位(移動)の分布から、地下の見えない断層の動きを明らかにすることで地震がどのように発生したのかがわかり、今後の地震発生の予測などに役立てられます。
 
火山ならば、地表の変位から地下のマグマの動きをとらえることができ、今後の火山活動を予測することに役立ちます。 また、南極などであれば、氷河の移動をとらえることもできます。
 
こうした自然現象自体を解明する他にも、例えば、地盤沈下のように人為的な地下水くみ上げによる現象もとらえることができます。
 
なお、干渉SARでは、観測や解析を工夫することで、地形(標高)を測定したり、大気中の水蒸気分布を測定したりといった計測も可能です。

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Q1-6.干渉SARと他の測量との違いは何ですか?

地表の変位の計測は、GPSや水準測量といった他の測量でもできます。 干渉SARが他の測量と大きく異なるのは、
 
(1) 面的に測定できる
(2) 観測点の地表に観測機器が不要
 
の2点です。 人工衛星からならば、数十キロメートル四方が一度に計測できる上、その範囲内になんら機器を設置する必要はありません。 そのため、人間がまったく入れない場所でも測定ができます。 これは他の地上測量では真似のできない、干渉SARの利点です。

SAR干渉画像に関する質問

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Q2-1.SAR干渉画像はどう読み取ればよいのですか?

干渉SARによる解析の結果は、普通は虹色の縞がはいった図で表されます。
 
青→赤→黄→緑※1のように色が変化している場所が変動のあった場所です。 このとき、青→赤→黄→緑 と変化すると、またもとの青に戻って虹色の縞々が繰り返されることに注目してください。
 
SARで測定するのは位相のため、距離の絶対値を知ることはできません。位相は1周すると元に戻り、0度から360度までの角度の単位で表されます。
 
SAR干渉画像の縞の色は、その地点を2回観測した時の距離の差から生じた位相の差を表しています。たとえば、ある場所の位相差が0ならその場所は水色、60度なら青色、180度なら赤色…といった具合です。
 
位相差が360度というのは、電波がレーダーと地表の間を往復した距離が1波長分変化したことを示します。
 
「だいち(ALOS)」のレーダーの波長は23.6センチメートルですから、360度の位相差は23.6/2=11.8センチメートル※2の変動を示します。同様に、位相差60度の地点は 23.6*(60/360)/2≒2.0センチメートルの変動を示します。
 
このように、位相差は変動量に対応しますから、結局色の縞はその場所の変動の大きさを表すわけです。
 
ところが、位相は360度まで増えるとそこで0に戻ってしまいます。つまり、360度の整数倍の変動は同じ位相にしか見えません。この位相差に含まれる360度ごとの任意性に対応して、干渉SARで得られる地表変動には、(レーダー波の波長)/2の整数倍の任意性があります。つまり、「だいち(ALOS)」のSAR干渉画像で、ある地点の色が5センチメートルの変動に対応する場合、その地点の変動は、実際には5±11.8×nセンチメートル(nは整数。0,1,2,…)のどれであるのかはっきりしません。
 
この任意性を解決するためには、以下のような方法をとります。まず、SAR干渉画像で地表変動がゼロだとわかっている場所を基準にして、そこから色が移り変わっていき、最初に同じ色になった場所は、360度の位相差、つまり変動が11.8センチメートルであると判断できます。色の縞模様がちょうど2周目なら2倍の23.6センチメートルです。
 
これをつなげていく技術を「位相アンラッピング」と言います。この技術を使うと、実際の地表変動の大きさの絶対値を知ることができます。
 

※1  色の変化の順番は、表示ソフトウェアによって変わります。
※2  SARデータには、アンテナからの送信と地表面からの反射の往復分が含まれています。そのため、変動量も2倍になっていますので、2で割ることで実際の変動量に戻します。

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Q2-2.SAR干渉画像は、なぜ虹色で表示するのですか?

シャボン玉の膜に虹色の模様が見えることがあります。 これは光の干渉によるもので、膜の表面で反射した光と裏面で反射した光が干渉して膜の厚さに応じた波長の色が見えます。
 
干渉SARで使っているのはマイクロ波と言われる電波ですから、干渉させても人間の目で見えるようにはなりません。 そこで、同じ干渉現象である光の場合になぞらえて、虹色の縞々で表すことが一般化しているのではないでしょうか。
 
もちろん、白黒の濃淡だけでも、赤と青だけでもかまいませんが、色が多い方が判別しやすいという利点もあります。

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Q2-3.SAR干渉画像の中で、砂をまいたようにざらざらした模様になっている場所がありますが、これは何でしょうか?

虹色の縞がくっきりと出ている場所ではなく、砂目模様のような場所は、「干渉していない」場所です。
 
そもそも干渉するためには、1つのピクセル(画素)が、2回の計測でほぼ同じ状態でSARの電波を反射する必要があります。このピクセル内が一様に移動すればよいのですが、ピクセル内で凸凹になったり、表面の状態が土地の造成、土砂崩れ、植生の変化などで変化すると、2回のSAR信号が干渉しなくなってしまいます。水面も、水の揺らぎにより、表面が変化するため、干渉しません。
またピクセル内の変化が小さくても、山地などで斜面の傾斜がある場所では、2回の衛星間の距離が離れてしまうと干渉しにくくなります。

こうした干渉しない場所では、ピクセルごとにランダムな数値になってしまいますから、隣接するピクセルと同じ色ではなくなります。そのため、左上の図にあるような、干渉しない領域全体はいろいろな色の集まり(砂目)になってしまいます。

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Q2-4.画像の背景に見られる地形のようなものは何でしょうか?

背景に地形のようなものが見られる画像は、位相の変化を示した図と、SAR衛星から送信したマイクロ波が、地表面に反射して戻ってきた時の信号の強度を示した図が重なったものです。
 
反射して戻ってきた信号の強度は、黒〜白で表示され、強度の小さい場所ほど黒く、大きな場所ほど白くなります。 反射の強度は、地形や地表面の状態で変化するため、この黒〜白の濃淡が、地形のように見えるわけです。
 
なお、河川や海など、揺らぎのある水の表面や、ツルツルの表面を持つ飛行場の滑走路などは戻ってくる信号の強度が弱いため、濃い灰色で表示されます。 逆に、建物が多い市街地は建物から反射して戻ってくる信号が強いため、白く表示されます。この濃淡を利用することで、見ている場所を推定することができます。

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Q2-5.SAR干渉画像の空間分解能はどれくらいですか?

SAR干渉画像は色のついたピクセル(画素)の集合体であり、周辺の色と異なる色のピクセルが連続することで、変動があると分かります。そのため、空間分解能はピクセルの大きさによって異なります。
 
ピクセルの大きさは、使用したデータ自体の分解能や解析手法の違いによって異なりますので、一概には言えませんが、「だいち(ALOS)」の高分解モードのデータを詳細に解析した場合は、1ピクセルの大きさがおよそ20メートルです。
 
このピクセルの色が、だいたい5個以上連続して周辺の色と異なっている場合は、何らかの変化が見えていると言えます。例えば、色が異なるピクセルが1列×5行(縦に連続して5個)で連続している場合、幅20メートル×縦100メートルの範囲で変動があったことが分かります。したがって、空間分解能は、20〜100メートルと言えるでしょう。

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Q2-6. ピクセルが横に引き伸ばされて見える場所がありますが、これは何でしょうか?

電波の照射方向に向いている斜面は、SAR画像上では実際の地表面の位置よりも手前(衛星に近い方向)にずれて表示されます。

これをSARの用語ではフォアショートニングとよんでいます。 このような場所では画像を引き伸ばしてジオコードします。そのため左上の図で黒線で囲まれた範囲のように、左右に引き伸ばされたような不自然な横縞模様に見えます。ピクセルに色はついていますが、干渉しているわけではありません。

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Q2-7.SAR干渉画像の投影法は何ですか?

干渉SARの処理は、SAR衛星によって得られたレーダー座標系で行い、最後に、標高データを用いて、実際の地表の座標系に変換されます。この処理を、「ジオコード」と言います。 この際、情報をもった各ピクセルを緯度経度順に並び替える作業をしています。したがって、SAR干渉画像の投影法は、正距円筒図法あるいは等緯度等経度図法となります。

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Q2-8.干渉SARで計測している地表の変位の方向はどちらですか?

干渉SARが計測しているのは、SARアンテナと地表を結ぶ直線の方向(衛星視線方向)です。
 
SAR衛星は、直下ではなく、ななめ下を観測しており、衛星が西側から観測する北行軌道(Ascending)と、東側から観測する南行軌道(Descending)があります。

また、地表の変動は3次元(東西、南北、上下)ですが、干渉SARが観測できるのは、衛星視線方向の1次元です。 そのため、1つのSAR干渉画像だけでは、地表がどちらの向きに動いたかを判別することはできません。
 
例えば、衛星が東側から観測した時(南行軌道)、地表が衛星から遠ざかる方向の変動を捉えた場合、沈下あるいは西に動いたまでは判断できますが、沈下なのか、西への水平変動なのか、もしくは沈下と西への水平変動が混同したのか、あるいは、東への水平変動があったが沈下量が大きかったため全体としては衛星から遠ざかる方向となったのか、といった区別はできません。 また、南北方向の動きは捉えることができません。
 
このように、1つのSAR干渉画像だけでは変動の向きを判別することは困難ですが、GPSの結果と比較したり、異なる方向から観測した(衛星が東側から観測した場合と西側から観測した場合)、複数の結果を融合したりすることで、変動の向きを判断することが可能となります。

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Q2-9.北行軌道と南行軌道で見え方が違うのはなぜですか?

Q2-8の回答にあるとおり、SAR観測には衛星が西側から観測する北行軌道(Ascending)と、東側から観測する南行軌道(Descending)があります。 また、干渉SARが観測できるのは、衛星視線方向の1次元です。
 
つまり、1つのSAR干渉画像からは、地表が衛星に対して(近づく、遠ざかる)の一方向の変動量のみが判ります。そのため、北行軌道と南行軌道の観測では、同じ変動を捉えた場合でも、違って見えることがあります。

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Q2-10.干渉SARの地表変位計測の精度はどれぐらいですか?

計測自体の精度は、原理的にミリメートルまで可能です。
 
しかし、気象条件や観測条件等によって、さまざまな誤差が含まれているため、すべてのSAR干渉画像が同じ精度を持っているわけではありません。
 
一般的には数センチメートル程度の精度になります。

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Q2-11.干渉SARの誤差で一番大きなものは何ですか?

誤差と言ってよいのかどうかわかりませんが、一番影響があるのは「干渉しない」ということでしょう。 結果すら出てこない状態です。
 
干渉SARの誤差としては、軌道による誤差、地形による誤差、大気中の水蒸気擾乱による遅延誤差などがありますが、除去が難しいという点で、最も大きな誤差となるのが、水蒸気擾乱による遅延誤差です。特に、水蒸気量の分布が不均一な場合は、処理による除去が難しく、SAR干渉画像にもムラのようになって現れます。 日本付近は水蒸気量が多いため、夏場の天気の悪い時などは、場合によって10センチメートルを超えることがあり、注意が必要です。

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Q2-12.干渉SARでの大気中の水蒸気による誤差にはどんなものがありますか?

水蒸気の誤差は、大きく分けて、鉛直方向の水蒸気分布の違いによるものと水平方向の水蒸気分布の違いによるものがあります。
 
鉛直方向の水蒸気分布による誤差は、地形ととても似た形で現れます。これは、水蒸気量が異なる時期の差をとった場合、山や谷などの地形によって大気の厚さが異なる分だけ、水蒸気量の差が現れるためです。この誤差は、標高との相関を利用することで、ある程度除去することが可能です。
 
一方、水平方向の水蒸気分布による誤差は、局所的な気象現象によってランダムに現れるため、除去することは困難です。
 
この水平方向の水蒸気分布による誤差が含まれることで、鉛直方向の誤差も十分な補正ができない場合があります。このような場合には、複数の時期の干渉画像を比べたり、平均をとるといった作業を行います。
 
なお、この水平方向の誤差は、空間的に長いスケールのものほど振幅が大きくなる性質があります。したがって、50キロメートル離れた場所で10センチメートルの差はありえますが、数キロメートル離れた場所で10センチメートルの差はないと言えます。

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Q2-13.大気による誤差があるかどうか、予想する方法はありますか?

だいち(ALOS)は、北行軌道の場合は午後10時30頃、南行軌道の場合は午前10時30分頃、日本上空を観測します。この時間帯の気象を確認することで、大気による誤差がSARデータに含まれているかを推定することができます。 降雨がある、湿度が高いといった場合には、大気による誤差が含まれている可能性が高くなります。 特に、日本の夏は高温多湿のため、大気による影響が頻繁に発生します。

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Q2-14.植生による影響はありますか?

だいち(ALOS)の使用している電波は波長が長いという特徴があります。 樹木に照射した場合、波の一部は枝、葉を透過し、幹や地表面からの反射を受信します。そのため森林地域でも干渉する場合があります。 一方、田畑では耕作や田に水を張る等、短期間で地表面の状態が変化するため、干渉が悪いことがあります。

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Q2-15.SAR干渉解析には何が必要ですか?

SAR干渉解析を行うに必要なのは以下の3つです。
 
(1) データ
データは人工衛星が取得しますから、個人ではどうしようもありませんが、日本だけではなく海外にも干渉SAR用の人工衛星の運用や計画があります。 これらのデータは購入することができます。
 
(2) 解析に必要なハードウエア(コンピューター)とソフトウエア(プログラム)
解析用のコンピューターは、以前は高価な機器でなければ実用になりませんでしたが、現在は普通のパソコンでも解析できるようになりました。 ソフトウエアはまだ少ないですが、市販されているものもあります。 国土地理院では独自に開発したソフトウェア『GSISAR』を使用しています。
 
(3) 干渉SARの知識
それほど難しい知識は必要とされませんが、リモートセンシング、画像処理、気象、地殻変動といったさまざまな分野の知識が必要になります。 また、解析の流れやどういった誤差があるのかを知っておく必要があります。

公開している干渉SAR成果に間する質問

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Q3-1.使用したデータは何ですか?

特に注記がない場合は、SARデータは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)」のLバンド合成開口レーダー(PALSAR)を使用しています。 また、軌道情報についても、特に注記がない場合は、最も精度の高い、高精度軌道情報を使用しています。解析に利用したDEMは国内は国土地理院数値地図50mメッシュ(標高)、海外はSRTM3秒メッシュを使用しています。

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Q3-2.使用した解析ソフトウェアは何ですか? また、解析ソフトウェアを提供してもらうことはできますか?

国土地理院が独自で開発した解析ソフトウエア『GSISAR』を使用しています。
 
『GSISAR』は、国土地理院内部用として開発されたソフトウェアですので、一般への配布は行っておりません。

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Q3-3.解析頻度はどのくらいですか?

定常解析では、地盤沈下地域ついては1年に1回程度、火山地域については火山の活動状況を考慮し、活動が活発な火山については数ヶ月〜半年ごとに解析を行います。 さらに、これらの地域では、観測データが蓄積され次第、観測期間が数年にわたる解析も行う予定です。それ以外の地域では変動量が微少と予想されるため、数年後をめどに解析を始める予定です。
 
なお、社会的な影響が大きい地震や火山等の災害が発生した場合には、速やかに緊急解析を実施し、その解析結果を公表します。

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Q3-4.SAR干渉画像を引用したいのですが、どうすればよいですか?

ここで公開しているSAR干渉画像を引用する際には、申請書の提出が必要となります。申請書に関する詳細は、こちらをご覧ください。
 
また、ここで公開されているSAR干渉画像は、国土地理院が解析したものであり、ALOS/PALSARデータの所有権は、経済産業省(METI)および宇宙航空研究開発機構(JAXA)にあります。 PALSARデータのSAR干渉画像を引用する際には、その旨を明記し、SAR干渉画像には、『Analysis by GSI from ALOS raw data of JAXA, METI』とクレジットを明記してください。 PALSARデータ以外のSAR干渉画像を引用する場合には、それぞれの注記に従い、クレジットを明記してください。

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Q3-5.基線長とは何ですか?

基線長とは、1回目の観測と2回目の観測のSAR衛星の軌道間距離です。一般的な「基線長」では、下の図ではBにあたります。
 
干渉SARでは、基線長Bよりも、その視線方向の垂直成分が重要となります。この基線長Bの視線方向垂直成分をBperpと呼んでいます。干渉SARでは、Bperpが長いほど干渉が悪くなります。
 
ここで公開しているSAR干渉画像の基線長とは、Bperpの値を示しています。

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Q3-6.「DEMによる誤差」とはどういう意味ですか?

DEMとは、デジタル標高データで、干渉画像を作成する過程で、地形によって生じた縞(地形縞とよんでいます)を除去する際に使用されます。このとき、DEMとSAR観測で計測された地表面の形状が異なる場合、その差が位相差として画像に表われ、変動があるかのように見えることがあります。また、この位相差は基線長が長くなるほど顕著になりますので、わずかなDEMの誤差であっても、基線長が長くなると、大きな誤差として画像に表れることがあります。
 
下のグラフは、縦軸に位相差が360度になるときの、DEMとSAR観測との地表面の高さ方向の差(単位:m)を、横軸に基線長(単位:m)をとったものです。このグラフから、オフナディア角34.3度、基線長が500mの場合、DEMとSAR観測で高さ方向の差がおよそ110mあると、位相が360度変化し、SAR干渉画像上でその場所は地表面が11.8cm変化したように見える、ということが分かります。同じように、オフナディア角が34.3度、基線長が2,000mの場合を見ると、DEMとSAR観測との差が20mで、位相が360度変化し、SAR干渉画像上では11.8cm変化したように表れます。つまり、基線長が長いほど、DEMの誤差の影響が大きいことが分かります。

通常、国内の解析では、国土地理院50メートルメッシュ標高データ(50mDEM)を利用して地形縞を計算し、補正しています。その高さ精度は7.5mと高精度です。しかし基線長1,500mを超えると、わずか数mのDEMの誤差で位相差が生じます。
 
例えば、オフナディア角34.3度、基線長が1,500mの場合、グラフから位相差が360度となるDEMとSAR観測との地表面の高さ方向の差はおよそ 40mであるので、DEMの測定誤差が7mとすると、それに相当する位相変化はおよそ11.8cm×7m/40m ≒ 2cmとなり、SAR干渉画像上にはDEMの測定誤差によって、わずかな位相の変化がみられることになります。
 
基線長が長いSAR干渉画像に見られる位相の変化が、本当に地表面の変化かどうか検証するには、基線長が短いSAR干渉画像と見比べて、同じ場所に位相の変化が見られるか、確認します。
 
また国土地理院50メートルメッシュ標高データの元となるデータは2000年以前に作成されたもので、測量後の土地の造成によって標高が大きく変わった場所でも位相差が生じます。このような場所では、土地の履歴について聞き取り調査を行ったり、空中写真や地形図と見比べて、土地の造成が行われていないか調べることで確認できます。

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Q3-7.備考欄に「使用軌道精度」とありますが、どういう意味ですか?

ALOSの軌道値には、作成するタイミングと精度が異なる、「RARR予測値」「RARR決定値」「高精度軌道情報」の3種類があります。
 
最も早く作成されるのは、「RARR予測値」です。これは、RARR(レンジ&レンジレイト)と呼ばれるレーダーの伝搬時間を用いた軌道決定手法による予測値をいいます。 SAR干渉画像公開ページの緊急解析で最初に公開される画像は、通常、この「RARR予測値」を用いています。
 
次に、観測後1〜3日後程度で作成される「RARR決定値」は、RARRによる決定値で、「RARR予測値」に比べ、精度が向上します。
 
最後に、観測後3〜4日程度で「高精度軌道情報」が作成されます。「高精度軌道情報」は、GPSデータ等を用いて軌道決定を行っており、最も高精度な軌道値です。 緊急観測で「RARR予測値」を用いた場合でも、最終的には、この「高精度軌道情報」を用いて再解析を行います。なお、定常解析は、特に注記がない限り、この「高精度軌道情報」を用いています。
 
(作成タイミング)
  早    「RARR予測値」  >  「RARR決定値」  >  「高精度軌道情報」    遅
 
(精度)
  高    「高精度軌道情報」  >  「RARR決定値」  >  「RARR予測値」    低

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Q3-8.GEONETの変動量と比較したいのですが、どうすればよいですか?

GPSは地表の変動を3次元(東西、南北、上下)で捉えるのに対し、干渉SARが計測できるのは、SARアンテナと地表を結ぶ直線の方向(衛星視線方向)の1次元です。 したがって、GEONETから得られる変動量を、SAR衛星の視線方向に変換する必要があります。

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Q3-9.地盤沈下地域の水準測量成果と比較したいのですが、どうすればよいですか?

SAR干渉画像から得られる変動が、全て地盤沈下のみの変動であり、水平成分の変動はゼロと仮定します。その場合の沈下量は、地表への電波の入射角と、地表の変動の向きの幾何学的関係から求められます。
 
例えば、オフナディア角※3が34.3度の場合は、衛星視線方向の変動量の約1.3倍、41.5度の場合は約1.5倍が沈下量と考えられます。
 
※3   SARレーダーの鉛直直下(ナディア)方向と衛星視線方向とのなす角。

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Q3-10.地理情報と重ねあわせしたいのですが、どうすればよいですか?

GISソフトウェア上で、SAR干渉画像の四隅に緯度経度情報を与えます。これによって、地図画像や既存のデータと重ねあわせて利用することができます。
 
国土地理院では、ArcView、PC-Mapping(基準点GISシステムを含む)、Google Earth、電子国土※4などのGISソフトウェアで、SAR干渉画像と重ね合わせできることを確認しています。
 
※4  Webサーバーが必要です。詳しくは電子国土ポータルをご覧下さい。

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