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周波数のちがい  Lバンドの優位性

干渉SARに用いられる電波の波長は、Xバンド(波長約3cm)、Cバンド(波長約6cm)、Lバンド(波長約24cm)がよく用いられます。

波長の短い電波ほど地表変動検出の分解能は高くなります。しかし、波長の違いで地表の干渉のしかたが大きく異なってきます。それはCバンド以下の短い波長では樹木などの植生の透過性が悪くなることに起因します。

つまり、CバンドやXバンドで森林地帯を観測すると、木の上のほうの葉っぱの部分で電波が反射してしまい、地面まで電波が到達しないのです。木は風で揺れたり、成長したりしますから、植生がある部分では、2回のSAR観測で違いが生じて、うまく干渉しなくなります。そのため、Cバンド以下の短い波長の電波は植生が少ない都市部などでは干渉しますが、森林地帯などでは干渉しなくなります。

これに対し、波長の長いLバンドの電波は植生を透過できます。つまり、Lバンドの電波にとっては木の大部分は「透明」なのです。したがって、森林地帯でも地面からの反射波をとらえて干渉が得られます。

また、2回の観測間のSARアンテナの相対的な距離を基線長と呼んでいますが、基線長が長くなるほど干渉しにくくなります。さらに、山岳地帯のように地形が険しいところほど、長い基線で干渉しにくくなります。この点でもLバンドのように波長が長いほど、長い基線での干渉に強い性質があります。

このように、日本のように植生が多く、かつ山地が多くて地形が険しい場所ではLバンドが圧倒的に有利になります。日本では、ほとんどの場合、Cバンドでは都市部ぐらいしか干渉しません。それに比べて、Lバンドであれば、基線長さえ気をつければ、ほとんどの場所で干渉します。

かつてNASDA(宇宙開発事業団-JAXAの前身)が打ち上げたJERS-1(ふよう1号)はLバンドの電波を用いるSARを搭載していましたが、1998年10月に運用が停止されたため、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が打ち上げられる2006年まで、Cバンドのマイクロ波を用いたSAR衛星しかありませんでした。 また、「だいち」の運用が終了した2011年5月以降も、CバンドとXバンドの衛星しか運用されていませんでした。2014年5月にJAXAが打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)は、LバンドのSARを搭載しており、再びLバンドによる観測が実施されます。

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