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”SAR干渉画像の特徴は?” 干渉SARのしくみ 中級編2

地表変動を求めることができる宇宙測地技術である干渉SARとGPSは、どちらも電波の位相を利用している点など類似点も多いのですが、以下のような違いがあります。

干渉SARとGPSの比較

地表変動観測での干渉SARとGPSの違い
干渉SAR GPS
(A) 地上の観測施設 不 要 受信機が必要
(B) 面的情報 可 能 不可能
(C) 連続観測 不可能 可 能
(D) 変動量の絶対値 直接求められない 注1 観測可能
(E) 測定量 衛星−地表の往復量 衛星−受信機の片道量
(F) 測定量の方向 1次元 注2 3次元
(G) 観測時期 数十日に1回 24時間可能

注1:解析によって可能  注2:衛星−地表の視線方向


(A) 被観測地に設備不要
GPSは受信機を設置して観測した点のみの情報が得られますが、干渉SARでは地表に特別の観測施設はまったく必要ありません。
(B) 面的情報が瞬間的に得られる
干渉SARは、一度に面的かつ広範囲に及ぶ観測が可能で、高密度な情報が得られます。このとき、人工衛星であれば数十キロメートル四方の領域の観測も10秒程度の時間内で行われるので、ほぼ瞬間的に情報が得られます。
(C) 連続観測はできない
1つのSARレーダーアンテナによる1回の測定でSAR画像は得られますが、2つのデータがなければ干渉させることはできません。人工衛星の干渉SARでは繰り返して同じ軌道を飛び2時期のデータを取得します。この2つのデータは同一条件(周波数など各種の観測パラメーター)をもったSARシステムで取得されていなくてはならず、一般には同一の人工衛星の繰り返し軌道データです。ただし、ヨーロッパの人工衛星のERS-1,2のようにまったく同一のパラメーターをもった双子衛星の場合もあります。
(D) 変動量の絶対値は得られない
2時期の観測データを使用して、その2時期の地表位置の差が変動量として求められますが、地表位置の絶対値は直接得られません。得られるのは1画像中での変動量の相対値です。変動量の絶対値を求めるために、断層による変動であれば「断層から十分遠い場所では変動量がゼロである」というような仮定を用いたり、他の観測データを使用しなくてはなりません。
(E) 衛星−地表間の往復測定
GPSでは衛星から地上の受信機までの片道の距離が測定されますが、SARではSARアンテナ(送信)→対象物(反射)→SARアンテナ(受信)の往復の距離が測定されます。したがって、対象物の移動量や大気での遅延量も2倍で測定されます。このために、ALOSのLバンドの波長は23.6センチメートルですが、SAR干渉画像上で伝播遅延または地表変動により位相が一周(360度)するのは半波長の11.8センチメートルごとです。なお、慣例として地表変動を表示する際は、便宜上、片道分の実際の地表変動に換算して表示しています。
(F) 変動が得られる衛星−地表視線方向が限られる
GPS衛星は複数あり、同時に異なった方向からの測定が行われることにより地表の3次元変位が得られますが、SAR衛星の数は限られており、同時に別々の方向からのSAR観測が行われることはほとんどありません。また、SARでの地表変動測定は、衛星−地表間の視線方向に沿って行われます。干渉SARにおいては、2回の観測でほぼ同じ軌道位置(最大でも数キロメートル以内)から同じ対象を観測する必要があるので、1つの衛星による測定方向は常に斜め上方の同一地点からの視線方向に沿ったものであることが多くなります。
(G) 観測時期が限られる
GPS観測は現在24時間可能ですが、SAR観測は衛星が対象地域の上空にある時だけ可能です。地球全体を1個のSAR衛星で観測すると、同じ場所を観測する周期は、通常、数十日になります(ALOSは46日)。つまり、ある場所を観測した場合、次に同じ条件で同じ場所を観測できるのは数十日後になります。

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