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”SAR干渉画像をどうよむか?” 干渉SARのしくみ 中級編1

干渉SARによる解析の結果は、普通は図7のようなカラーの縞がはいった図で表されます。これは石けんの泡や水に浮いた油の薄膜に虹色の縞々模様ができるのに似ています。
 
青→赤→黄→緑 (この順番は表示のソフトウエアによります)のように色が変化している場所が変動のあった場所です。このとき、青→赤→黄→緑 と変化すると、またもとの青に戻って虹色の縞々が繰り返されることに注目してください。

視覚化の方法

SARでは距離の絶対値を知ることはできません。測定しているのは位相です。位相は、波の中で「山」なのか「谷」なのかを表しているだけなので、何個目の波に入っているのかはわかりません。そして、1つの波の中での位置を表すために、一般に、0度から360度までの角度の単位で表されます。

SAR干渉画像の縞模様の色は、その地点の2回のSARデータの距離の差から生じた位相の差を表しています。たとえば、ある場所の位相差が0ならその場所は水色、60度なら青色、180度なら赤色…といった具合です。位相差が360度というのは、電波がレーダーと地表の間を往復した距離が、ちょうど1波長分変化したことを表します。

日本のSAR人工衛星であるALOS(だいち)のレーダーの波長は23.6センチメートルですから、360度の位相差は23.6/2≒11.8センチメートルの変動を表します(往復測定を片道に直すために2で割る)。同様に位相差60度の地点は 23.6×(60/360)/2≒2.0センチメートルの変動を表します。

このように位相差は変動量に対応するので、結局、縞の色はその場所の変動の大きさを表すわけです。

位相は360度まで増えるとそこで0に戻ってしまいます。つまり、360度の整数倍の変動は同じ位相にしか見えません。これは、電波の波がお互いに同じ形をしているので区別がつかないことによります。

この位相差が360度ごとに戻ってしまうことに対応して、干渉SARで得られる地表変動には、(レーダー波の波長)/2の整数倍の任意性があります。

つまりALOSのSAR干渉画像で、ある地点の色が5センチメートルの変動に対応する場合、その地点は実際には5±11.8×nセンチメートル(nは整数。0,1,2,…)のどれかの変動があるわけです。

この任意性を解決するためには以下のような方法をとります。

図7 地殻変動とSAR干渉画像

図7 地殻変動とSAR干渉画像

* 干渉SARで観測されるのは位相!


図8 Lバンド干渉SARで得られる位相変化

図8 Lバンド(波長23.6cm)干渉SARで得られる位相変化

* 実際の変動量は位相の周期(11.8cm)に折り畳まれている!

まず、SAR干渉画像で地表変動がゼロだとわかっている場所を基準にして、そこから色が移り変わっていき、はじめて同じ色になったら、その場所はちょうど360度の位相差、つまり変動は11.8センチメートルであると判断できます。色の縞模様がちょうど2周目なら2倍の23.6センチメートルです。これをつなげていくという技術を使うと、実際の地表変動の大きさの絶対値を知ることができます。

変動の向き

干渉SARが測定しているのは、SARアンテナと地表を結ぶ直線の方向です(衛星視線方向)。

SAR衛星はななめ下に電波を送受信しています(地上から見るとななめ上)。 なお、衛星が東側または西側から地表を観測する軌道がよく使われます。

地表の変動は3次元(東西、南北、上下)ですが、干渉SARが観測しているのは衛星視線方向の1次元にすぎません。 ですので、地表がどちらに動いたかを単純に判別することはできません。

「衛星視線方向が長くなる」とは、地表が衛星から遠ざかる方向に動いたことになります。つまり、衛星が東側から計測している場合、地表が下または西に動いたことになります。このとき、南北方向に動いたかどうかはわかりません。また、動いたのが下なのか西なのか、もしくは下と西の混ざったものなのか、東に動いたのだが下成分が大きかったので打ち消されて全体としては衛星から遠ざかる方向だったのか、といった区別はできません。

実際に地表が動いた量は、SAR電波の地表への入射角と地表の変動の向きの幾何学的関係から求められます。たとえば、純粋に地盤沈下のみの変動ならば、水平移動成分はゼロですから、ALOSでオフナディア角(※)が34.3度の場合、衛星視線方向の変動量の約1.3倍の沈下量があったことになります。

  ※オフナディア角:SARレーダーの鉛直直下(ナディア)方向と衛星視線方向とのなす角。

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