「2000年度平均成果」について 
−全国の水準点の高さ(標高)を改定して1年−
 
30年ぶりに高さを変更
 2001年6月に測量法と水路業務法が改正されました。これに伴い2002年4月以降、経緯度の表示は世界測地系に基づくものを使用することとなりました。また、この法改正とは直接関係しませんが、時を同じくして基本となる国の水準点の標高を全て30年ぶりに改定しました。この成果を「2000年度平均成果」と呼んでいます。測量に使用する水準点の標高の改定は、影響が大きいと予想されることから、全国各地で国の関係機関をはじめ地方公共団体および測量作業機関を対象に説明会等を実施しましたが、この改定についての質問が最近多く寄せられることから、概要を解説します。
 
1.わが国における水準点標高の公表の経緯
 基本水準点の標高を与えるための水準測量は明治16年より開始されています。第1回の全国測量の成果は、陸地測量部内の事業として行われた地図作製の他、国レベルで行う事業等に利用されたものと思われますが、一般公開の扱いではありませんでした。
測量法が昭和24年6月に制定され、公共測量の基礎となる基本測量の成果は、昭和28年から昭和38年にかけて地域毎に手計算による水準網平均計算が行われ、完了した地区毎に順次公表されました。これが第1回の公表です。
 
第2回の成果は、大型計算機を用いた同時網平均処理を行い、昭和37年から昭和43年に取得した水準測量データから北海道地方を除く地域について、昭和44年に「昭和44年度平均成果」として公表しました。また、北海道地方については、昭和43年から昭和47年に得た水準測量データを用い、忍路験潮場近傍の一等水準点(No6996)を1点固定し、本州地方とは独立した標高を求め、昭和47年に「昭和47年度平均成果」として公表しました。(これら2つの成果を併せて、以下では「旧成果」と呼ぶ。)
第2回の成果公表以来約30年を経過し、全国測量の繰り返し測量ごとに変動量の大きい地域を部分的に改定を図ってきたものの、広域的な地震・火山による地殻変動の影響、地盤沈下等による成果の不整合が生じてきました。これらの歪を解消し、社会の高度化の進展に対応することを目的として、今回改定した成果が第3回の「2000年度平均成果」です。
 
2.「2000年度平均成果」構築と特徴
現在、わが国の水準測量の全国測量は、明治16年の開始以来、第9回目の測量が進行中であり、平成15年度は東北地方から青函トンネルを経て北海道地方を北上する予定となっています。「2000年度平均成果」計算に当たっては、全水準路線の最新の観測データに基づき、日本水準原点1点を固定として計算しました。また、最新の全国的に稠密な重力データが整い、これによる任意の地点の重力値を精度良く推定するとが可能となったことから、これまで採用されていた正規重力式による「正規正標高補正」に換え、実測重力値を用いた「正標高補正」を採用することにし、全国の水準点成果約21,000点について成果を改定したものです。             
  
写真  日本水準原点
 
また、「2000年度平均成果」は、測量法改正に伴う三角点等の成果と併せて2002年4月に公表しました。なお、今回の更新成果の結果は、前述のとおり正標高を採用した他、本州、北海道及び九州地方を直接水準測量により結合し、骨格路線を全国同時網平均計算によって成果を得たことが主な特徴です。
 
3.「2000年度平均成果」と旧成果との標高比較 
 新旧の標高比較を図1に示すが、30年間の地殻変動や計算手法の違いによる標高の変化が見られます。
 全国的な傾向として、日本水準原点近傍の東京周辺ではほとんど差はなく、北海道側でマイナス傾向(最大-43cm)、九州・四国側でプラス傾向(最大+35cm)となっています。これは、旧標高の計算に遡ると北海道は、本州側と分離され計算されたこと、九州・四国側は、本州側の西ブロックの計算時に、それぞれ関門・来島瀬戸ルートの路線のみで結合されていることや重力値の補正計算手法の違い等により系統的な標高差が生じたものであると考えられます。
 北海道東部や東北の三陸沿岸域及び御前崎地域のマイナス傾向はプレート運動による沈みこみ、仙台、関東平野、房総、佐賀平野の顕著なマイナス傾向は、地盤沈下による沈下、伊豆半島東部の顕著なプラス傾向は群発地震をしばしばともなった地殻異常隆起によるものと思われます。


「2000年度平均成果」と旧成果との標高比較
 
4.成果改定に伴う公共測量の対応
 国土地理院では、今回の水準点成果改定により、一等及び二等水準点標高値の全てが変更されたことから、公共測量に混乱することなく新成果の利用が図れるよう「基本水準点2000年度平均成果改定に伴う公共水準点成果改定マニュアル(案)http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/download/hyoukou_manual/index.htm 」を作成しました。
 ここでは、基本水準点の成果改定に伴う公共水準点成果の改定方法を定めており、
    (1)旧観測値を用いた平均計算による成果改定
    (2)仮定観測値を用いた平均計算による成果改定
    (3)改測による成果改定
の3つの方法から適切な改定手法を使用するよう述べています。この選択に当たっては、地殻変動地域、地盤沈下地域等の影響を考慮して、事業の目的精度に応じた選択が必要であろうと考えられます。
 
 また、「2000年度平均成果」改定は、陸地における水準点標高の改定であり、東京湾平均海面(T.P.)を基準とした高さの体系です。このため、河川、港湾および水路の測量で扱う基準面(特殊基準面)とは異なっていますので、これらの測量を行う際には、基準面の違いによる混乱を生じないよう、担当機関と十分な調整を図って実施する必要があります。
 公共測量等で基本水準点を使用するときには,公共測量実施計画書を提出し測量地域を管轄する国土地理院の各地方測量部の助言を受けて実施することをお願いします。技術的な質問や測量地域にある基準点の情報は,国土地理院の地方測量部及び支所にお問い合わせ下さい。http://www.gsi.go.jp/GSI/CONTACT/g-tisoku.html
 
.測量成果の入手について
 測量法により新たな測量を実施する時には,最新の測量成果を基準として実施することとなっていますので,新しい測量成果を入手する必要があります。国土地理院では、水準点や三角点等の基準点成果提供を地理情報部情報管理課測量成果係(TEL 029-864-1111 (内線 7253):E-mail seika@gsi.go.jp)並びに各地方測量部等で行っています。また、基準点成果はホームページhttp://sokuservice1.gsi.go.jp/からの閲覧も可能であるので是非ご覧ください。